水戸地方裁判所 昭和43年(借チ)2号 決定
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〔決定理由〕一、本件申立の要旨は、申立人は相手方と別紙(二)記載のとおりの借地契約を締結し、その後、契約の存続期間は昭和七〇年一二月末まで延長されたが、その目的となつている土地(別紙(一)記載)が防火地域の指定を受け、しかも附近の土地の利用状況も変化して来ているので、この際右契約を堅固建物の所有を目的とするものとするため借地条件の変更を求めるというにある。
二、本件において調べた資料によれば
申立人は昭和二九年一〇月一日に相手方から別紙(一)記載の土地を普通建物の所有を目的として期間の定めなく賃借し、地上に(イ)家屋番号泉町一、〇一九番、木造スレート瓦葺二階建居宅一棟、床面積三二坪五合、(ロ)家屋番号同町一、〇〇五番の一一九、木造瓦葺平家建居宅兼診療所一棟、(ハ)家屋番号同町同番の二四五、木造瓦葺平家建居宅一棟、(ロ)(ハ)の床面積合計四二坪一合二勺を建築し所有していること、賃料は昭和四一年一月一日から月額一万五、〇〇〇円に改訂されたこと、申立人は医師であつて、かねてより右建物において「高山小児科医院」を開業しているが、建物設備が狭隘であるため来院患者の診療や入院患者の受入れに支障を来し、したがつて建物を増改築する必要に迫られていること、他方本件土地は水戸市内随一の繁華商業地域の泉町大通りに面し、附近はデパート、金融機関、商店などが並び、近年これらの建物は高層の堅固建物に変りつつあること、そして本件土地を含む右大通りの一帯は昭和四二年八月二二日建設省告示第二、五三六号をもつて建築基準法第六〇条による防火地域の指定を受けたこと、以上のとおり認めることができる。
なお申立人は、昭和四一年一月一日に賃料を右のように改訂した際は、借地契約を締結しなおしたものであるから、借地権の存続期間はその後の三〇年間の昭和七〇年一二月末日までとなつたと主張するが、当裁判所としては、相手方本人の陳述に照らし、当時は従前からの借地契約について、たんに賃料を右のとおり改訂したに過ぎず、存続期間その他の借地条件の変更はなく、まして新規に契約が結ばれた事実はなかつたものと認める。
右認定の事実によれば、申立人の本件借地条件変更の申立を認容するのが相当である。
三、そこで附随裁判について検討する。
(1) 鑑定委員会の意見によると、本件土地を更地価格で3.3平方メートルあたり金五七万一、六〇〇円と評価し、申立人の相手方に対する財産上の給付としては、借地期間が今後六〇年間延長されることを前提として、その間八年後、二八年後および四八年後の三回にわたり相手方が取得すべき更新料の額を基本として、これに建物の堅固化にともなう土地の効用増加による割増修正を加えた上で、申立人は相手方に対し金六一七万八、三〇二円を支払うべきものとし、賃料については、借地権割合を七〇パーセントと見て評定した底地価格の利廻りや従来の賃料改訂の経過などを考慮して月額七万二、六〇〇円(3.3平方メートルあたり月額四七五円)をもつて相当としている。
(2) 財産上の給付にかんして鑑定委員会が採用した算定方式は基本的に是認し得るところであり、かつその算定の数字的基礎についても、本件土地の更地価格を3.3平方メートルあたり金五七万一、六〇〇円としていること、本件のような商業地域における標準的更新料は更地価格の五パーセント程度にあたるとしていること、そして地上建物の堅固化による土地の効用増加率を六〇パーセントとして更新料の額に割増修正を加えるべきものとしていることはいずれも妥当と考える。
しかし本件借地契約の更新時期は第一回目が一五年後の昭和五九年一〇月一日(存続期間は昭和七九年九月三〇日までの二〇年間)、第二回目が三五年後の昭和七九年一〇月一日(存続期間は昭和九九年九月三〇日までの二〇年間)と認められるから、今後借地権の存続期間を昭和九九年九月三〇日まで延長することを前提とすれば、その間に支払われるであろうところの更新料は二回分の合計金八七三万六、二九〇円(更新料一回分は本件土地の更地価格八、七三六万二、九一二円の五パーセントにあたる四三六万八、一四五円)となるわけであるが、この額からホフマン式計算法により年六パーセントの割合の中間利息を控除して現在の価額を求めると金三七〇万八、一〇二円(左記1、2の合計)となる。
記
1 更新料一回目の分
4,368,145円÷(1+0.06×15)
=2,299,023円
2 同じく二回目の分
4,368,145円÷(1+0.06×35)
=1,409,079円
そこで右金額に土地効用増加率六〇パーセントを乗じて得られる割増料二二二万四、八六一円を加算すると金五九三万二、九六三円(すなわち 3,708,102円+3,709,102円×0,60=5,932,963円)が得られるので、この額をもつて財産上の給付額と定めることとし、申立人をしてこれを昭和四四年五月三一日かぎり支払わせることとすべきである。
右にともなつて借地権の存続期間は昭和九九年九月三〇日まで延長すべきものとし、賃料については借地条件が変更された翌月分から鑑定委員会の意見のとおり月七万二、六〇〇円に増額するのが相当である。
よつて主文のとおり決定する。
(土屋連秀)
別紙
(一) 土地
水戸市泉町一、一一四番
一、宅地 78坪8合5勺(260.66平方メートル)
同所一、一一五番の三
一、宅地 74坪(244.62平方メートル)
(二) 借地契約
(イ) 右土地につき賃貸人を相手方とし、賃借人を申立人として、昭和二九年一〇月一日に普通建物の所有を目的とし、存続期間を定めず締結された賃貸借契約
(ロ) 賃料一ケ月金一万五、〇〇〇円